近代建築遊歩

『目利きの東京建築散歩』(朝日新書 小林一郎著)

明治以降、わが国は西洋建築の習熟と習得に励み、装飾で覆われた19世紀・歴史主義の建築をわが国で再現してきました。

その最初のビッグプロジェクトが日本橋の日本銀行本店。重厚な西洋建築をわが国に再現させました。

その西洋建築の写しから一歩抜き出たのが赤坂の現・迎賓館。単なる西洋建築の写しだけではなく、西洋のナイトを日本の武士道に置き換えるなど、読みかえに成功しています。これが西洋建築の卒業証書代わりの建築物です。

市民が成熟していなかったため、国家が先導者となって、国家を建物で飾り国力を世界に誇示する、という道を歩みだしたのがこの頃であった。

と、ここで冷静になって振り返ると、個人、つまり設計者、

設計者の内面の精神を表現したのが豊多摩監獄。これには設計者の内面の精神のほとばしりが表現されている。で、どんな建物であったかというとパノプティコンという全方位監視システムを採用している。これは扇型の元に立てば、すべての部屋内部が見通せる、というシステムである。設計者個人の自由のほとばしりが,他を監視するシステムとなり、以降、ホテルなどでもこの監視システムが採用され、さらに都市もとなるパノプティコン化が進み、現代都市は構成されている。